治療の特徴

専門的な知識と確かな技術で患者さまに最高の医療を・・・

田辺脳神経外科病院が「脳・脊髄・神経」に特化した病院としてどのような疾患を扱い、治療を行なっているかを知っていただき、それぞれの疾患や当病院について理解を深めていただくきっかけになれば幸いです。

脳神経外科

頸椎骨軟骨症・・サーファーの医学

手術前のMRI画像。
術中のレントゲン画像
術後のレントゲン画像

サーファーがかかりやすい病気やケガには傾向がある。
サーファーズイヤーもそうだし、靭帯損傷もそう。今回焦点を当てる頸椎骨軟骨症もそのうちの1つ。どうやらパドルの体勢が原因でなりやすく、発症すると相当ツラいとか。

そこで、その症例を手術によって克服したマニューバーライン社の川崎正秀氏と、執刀した田辺英記先生に話を聞いた。

サーフィンのことを知るドクターに、適切な治療を受けるのが理想
 小指の痺れが薬指、肘、上腕と広がり、そして痺れは痛みに変わっていった。24時間、鈍痛に悩まされ、海から遠ざかる日々……。

大阪在住のサーファーであり、サーフィンプロダクトを展開するマニューバーラインの川崎正秀氏が、首の異変に気付いたのは10数年前のこと。いくつもの病院、接骨院を訪ねたが、体の異変を解決する明確な答えは得られなかった。

そんな川崎氏を痛みから解放したのは、脳神経外科医の田辺英紀先生だった。そこで、本誌取材陣は台風一過の7月中旬、田辺先生と川崎氏を訪ねて大阪へ飛んだ。「週末に種子島に行ってきたんですよ」 日に焼けた笑顔で迎えてくれた先生は開口一番、種子島トリップのことを話してくれた。そう、先生は30年以上にわたって波乗りを楽しんできたサーファーだ。ゆえにサーファーの体の異変、悩みにも理解が深い。
「川崎さんは頸椎骨軟骨症という症例です。椎間板(ついかんばん)が刺激を受けて、まわりの骨がトゲのように突き出て神経を圧迫するために、痺(しびれ)や痛みが出てくるのです。頸椎の支柱部分の骨と骨をつないでいるのが椎間板。この椎間板がしなって首が動くんですが、繰り返し動くことによって変成してきます。この変成がまわりの骨に影響を与えるのです。そもそも椎間板の変成は誰にでも起こり得ます。だいたいは30代から。
若いときは椎間板がみずみずしくて柔軟なのですが、これが加齢とともに硬くなっていきます。首や腰の病気は体質的な部分も弱冠ありますが、基本的には後天的な環境に大きく左右されます。
重い物を持つ仕事や、サーフィンだったらパドルの姿勢が良くない。病状を悪化させやすい姿勢なんです。それが原因で、首や腰の病気に悩まされる方も少なくない。でも、だからといってサーフィンはやめられませんよね(笑)。
我慢しながら波乗りを続ける方もいるでしょうし、良い治療を受けられなくてサーフィンをやめてしまった方も少なくないでしょう。
手術がすべてでは無いですが、適切な方向で治療ができれば、そういった症状に悩んでいるサーファーも安心できますよね」

自身がサーファーであるがゆえに、田辺先生はサーファーへの理解が深い。
先生曰く、まったく波乗りを知らない医師であれば、川崎氏のような症状が出た場合、とにかく運動を控えるように制限をかけることも多いはずだと言う。
だからこそ、サーフィンに理解のある医師に出会うことも重要なファクターのひとつだ。しかし、ヘルニアのような場合、一般的には整形外科に足を運んでしまいがちだ。
「整形外科がすべて川崎さんのように首の斜め前方から切開する手術をしているとは限らないし、逆に脳神経外科がみな行っているわけでもありません。むしろ、少人数かもしれませんね。だからこそ、適切な導きが大切なんです」

 先生に、最後にもうひとつ気になる質問を投げてみた。

「予防法? 正直、それはわからないです。こうしておけば症状が悪化しなかった、ということは言えません。あえて言うなら、何か症状が出てきたら安静にすること。無理をすると悪化しますから。我慢しながら続ける人もいるでしょうし、しばらく安静にしたら自然に治る人もいます。波乗りを続けて頸椎を傷める人は確かに多い。でもそれはしようがないことですね。病気になってしまうのは良くないことですが、そのなかでいかにサーフィンを続けていけるか。治るはずの病気も知らないで我慢したままって結構あると思います。
それが手術なのかどうなのかはそれぞれのケースですが、波乗りに理解のある先生やそういうスタンスのある人に専門的なアドバイスを受けて、気分よくサーフするのが一番です」

「サーファーに限らず、あらゆるアスリートたちが抱えている爆弾のようなもの、それが腰と頸椎のヘルニアや骨の変成症と言われています。突発的にこのような症状や痛みに遭遇したとき、一体どうすればいいのか?『サーフィンをやめてしまえばいいじゃないか』
では答えにならないと思います。特に、サーフィンはある種の中毒のようなもの。簡単にやめられるわけがない。日本全国にはこの頸椎症や腰の痛みに悩んでいるサーファーが大勢いるはずです。
私の場合は45歳ごろから指先の痺れが始まり、薬指や肘そして上腕まで痺れるようになり、それが痛みに変わっていきました。
後に頸椎のヘルニアと診断されたのですが、どのようなものかさっぱり知識がありませんでした。そして、パドリングをするときに顎を前につきだして正面を見ることが出来なくなり。

ただひたすらストリンガーを見つめて、たまに上目使いで波をチェックするような感じでした。24時間続くこの鈍い痛みの辛さは経験した人でないとわからないでしょう。
腕を切り落としてほしいと思ったくらいです。多少楽になったときもありましたが、この痛みに苦しむこと12年余り、いろんな医師に診断して頂き、手術を決断しようと何度も悩みましたが、失敗に対する恐怖や5時間にも及ぶ手術時間、2 ヶ月半もの長期入院のことなどでなかなか決断に至りませんでした。

しかし、とある日に私の旧友でありサーファーでもある高橋良輔氏に優秀な脳神経外科の先生がいらっしゃると聞き、診察を受けるに至りました。
高橋氏自身も田辺先生の脳動脈瘤手術を受け、今では全快でサーフィンを楽しんでいます。私の場合、手術時間がたったの1時間余り、入院期間もわずか1週間と言われ、とてもわかりやすいインフォームドコンセントも相まって神に救われた気持ちで手術をお願いしました。そして昨年の12月に執刀して頂き、3 ヶ月後にサーフィンを再開しました。
経過は良好で、腕立て伏せで大切な上腕と大胸筋の筋力も戻り、現在は快適なサーフィン人生を満喫しています。
今回、『サーフィンライフ』誌に田辺先生を紹介してほしいとお願いした理由は、日本に多数いる悩める方々に的確なメディカルアドバイスを読んで頂き、正しい治療方法を理解してほしいと思ったからです。これらの症状に対する知識を得て頂いて、ひとりでも多くの悩めるサーファーが正しい治療を受け、今後のサーフィンライフを楽しんで頂きたいと願っています」(川崎正秀氏談)

月刊サーフィンライフ 2011年10月号より抜粋

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