よく 「安全・安楽に過ごして頂く」 という言葉を耳にします。
”安全”を辞書で調べると、
『危険のない事。平穏無事な事。』 とあります。
”安楽”を調べると、
『心身に苦痛がなく、穏やかで楽な事。満ち足りて心が平和な事。』
とあります。
高齢者施設で勤務する職員は、
ご入居者様に何かあってはいけないという思いや、
責任を負うのを恐れる心理から、
ご入居者様の”安全”をお守りする事を最優先に考えてしまいがちです。
ですが、
”安全”を第一に考えるがあまり、
”安楽”な生活を送って頂けていない
ご入居者様はおられないでしょうか?
中には、多少のリスクを負ってでも、
満ち足りた精神状態を求める方もおられるのではないでしょうか?
例えば、
お酒が好きで、ずっとお酒を飲んで生活してこられた方の中には、
”お酒が飲めないなら死んだほうがましや”
と、思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
例えば、
外出できるような状態ではなくなられ、
ターミナル期に入られた方の中には、
”死ぬまえに一度でいいから自分の生まれ育った故郷に帰りたい”
と、望んでおられる方がいらっしゃるのではないでしょうか?
当然、ご入居者様の”安全な生活”をお守りするのも、
僕たち高齢者施設で務める職員の重要な役目ですが、
最優先すべきは
”安楽な生活”をお守りする事ではないかと僕は考えます。
※ ”安全な生活”という事こそが、”安楽な生活”と考える方も
当然おられると思います。そのような方には”安全な生活”
を全力でお守りするという事を最優先にさせて頂くという
意味も含みます。
ご入居者様が
どのように思っておられるのか。
どのように感じておられるのか。
何を望んでおられるのか。
どうすれば叶えて差し上げる事ができるのか。
その為に自分がすべき事は何か。
柔軟な発想力で、
いろいろな角度から
ご入居者様の本当に望んでおられる事は何かを考え、
それを叶えて差し上げる為に何が出来るのかを考え、
自ら伝える事で一人でも多くの協力者を得て行動に移す。
ご入居者様の”安楽な生活”をお守りする為には、
柔軟な発想力と、行動に移す実行力が必要だと思います。
そこで、平成25年度介護部スローガンは
「柔軟な発想力と実行力を養う」
にさせて頂く事にしました。
ご入居者様のあらゆる可能性を諦めず、
メルヴェイユ吹田での生活を最期まで満ち足りたものと感じて頂く為に、
一人一人が出来る事を考え、実行し、
後悔を残さない関わりを目指していける介護部でありたいと思います。
平成25年4月 介護チーフ辰巳